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<3>         [ 二クラス・ウィンター・カルテット・フィンランド・ツアー 2007 ]
2月9日
寝不足で少し下に降りるのが遅れてしまったが、 謝って出発。  8時45分の船に乗り込んでスウェーデン方面の小島、 マリエヘムに6時間だかの船旅。  部屋も用意してくれていたので、景色を暫く楽しんで、 メシを食べてからみんなでベッドに潜り込んだ。
そう、この景色は特に素晴らしかった。  何しろ、海は凍ってい て真っ白なのだ。  そう、この船は砕氷船なのである。  というのはウソで、そこまで氷は厚くない。  船は点在する島の間を潜り抜けて進むので、常に陸地や、 家などが見える。  退屈しないのだ。

マリエヘムに着くと、そこはまた、ヘルシンキともツルクとも 違う、美しい景色の島だった。  そこはフィンランドでありなが らスウェーデン語しか通じない。  何か、いろんな歴史があって そういう事があるらしい。
フィンランドは昔、スウェーデンやロシアに侵略されていたの だそうな。  可哀相に。
事実、二クラスもネイティブ言語はスウェディッシュだそうだ。  トニはフィニッシュしか喋れない。  勿論、彼らは英語を話す。  若い世代はみんな英語を話すが、年配の人はそうでもない。  二クラスは 「俺はスウェーデン語、フィンランド語、英語、ドイツ語、フランス語を話す」と言っていた。  C3−POか。  しかし島の話だと、フランス語はそうでもないらしい、はは。 

滞在するホテルで出た食事が最高だった。  脂っぽい食事にすっ かりナーバスになっていた島までもが、旨い旨いと言って食べ た。  俺は二クラスとトニが残した分まで食べた。
その後、この未知の島、マリエヘムを島と散策。旅は道連れ、 自分探しのマリアも加わった。途中、こちんこちんに凍った海 だか湖にたどり着き、その上を歩いたりふざけたりした。楽し い。しかし、体調は悪い。遊びすぎだ。
会場に向かう途中、4人組のバイオレンスガイが車でやってき て、缶ビールを投げつけられ、それが島に命中。  バッドになる 島を慰めつつ、リハを始める。
この日はマリエヘムのジャズフェスティバル。  昨日散々遊んだ 割には、大きな仕事だ。  俺達の前に出演予定の、アフリカ音楽 を演奏するグループのパフォーマンスを気に入ってしまった。  白人女性の率いるグループで、彼女は裸足でマリンバを演奏し、 歌を歌って、更にピョンピョンアフリカンダンスを踊った。  そのバイタリティに感服したし、パフォーマンスも素晴らしか ったのだが、みんな一斉に、島までもが 「俺は好きじゃない」 「あいつはチープフッカーだ」 「スリク(麻薬)でもやってるだろ」だと。  一体何なんだ、それは。  しかし“チープフッカー”という言葉、気に入った。  俺達は、例えばマリアがいい娘だ という事をみんな認めながらも、影では常に “スパニッシュフッカー”と呼んでいた。  「あれ、スパニッシュフッカー何処行ったの?」  はっきり言って下衆である。
肝心の演奏だが、更に上手く行った。  毎回、良くなるのが恐い。  このバブルがいつまでも続かない事は、経験から言って判っているからだ。
そして打ち上げをやって部屋に帰ってシャワーを浴びると、 もうバスに乗って島の反対側に行き、また船に乗ってツルクに帰る。  そう、寝る暇は始めっからないのだ。  今思えば、このバスの2時間で、だべってないで寝ておけば良かった。  行きと違ってバスが長く、船が短かったからだ。  翌日寝る暇など、勿論ない。
そしてここで俺は、フィンランドの衝撃的な一面を目撃するこ とになる。

それは他ならぬ、帰りの船だ。  え、何の事?  と思うだろう。  あんなに素晴らしかった船の夜の便は、酔っ払いのさまよう、 地獄絵図さながらの幽霊船に様変わりしていたのだ!!  とにかくシラフの奴がいない。  階段を降りてくる奴、部屋から出てくる奴、 廊下を歩いてくる奴、 トイレから出てくる奴、 その誰一人を見ても、子供を捜している母親に至るまで、全員が全員、 泥酔のゾンビ状態、これはまさしく、 バイオハザードシップだったのだ!!
しかもトニから恐ろしい話を聞いた。  トニのガールフレンド、 ヴァルティナのスーザンが10年ぐらい前、 ツアーの帰りにこの船の夜の便に乗った。  しかしその晩、ツアーで一緒だったドラマーが、 彼は一滴の酒も飲まないにも拘わらず、 荷物だけ残して船から忽然と姿を消した、というのだ!!  彼は今でも発見 されておらず、恐らく何らかのトラブルに巻き込まれて海に投 げ落とされたのだろう、という話だった。  勿論、ニュースで大 騒ぎになったそうだ。  こ、こえーじゃねえか!!
その話を聞いた直後に、俺は寝ている島と二クラスを残して、 トニと船のディスコに行かざるを得なくなった。  さすがにあま り気が進まなかったが、そこに行かないと食べ物が手に入らな かったのだ。  だ、大丈夫か!!
おっかなびっくりディスコに入るとそこは、はは!  何とこのバ イオハザードの心臓部だった!!  いやあ、マイケルジャクソン のスリラーみたいな雰囲気、と言ったら判ってもらえるだろう か。  全員泥酔、乱痴気騒ぎ。  半裸で踊る女達。  ウォッカラッパ 飲みで叫ぶ男達。  OK、勝手に死んでくれ、としか言いようのな い素晴らしい光景だった。
ところでトニはマッチョなタイプ。  俺のボディーガード然とし て颯爽と立ちはだかり、ウィスキーとビール (奴はいつも両手にウィスキーみたいな強い酒のショットとビールだ!!)、 ピザを注文し、ストレートのウィスキーを一気に飲み干すと、 近くにいた酔っ払いが「オーッ」と言った。  カ、カッコイイ。 周りで繰り広げられていた光景はといえば、例えば横に座って いた女の子二人はセクシーな格好だったが、優に100キロは ありそうな巨漢で、それを狙ったナンパ目的の泥酔したジジイ が、そんなやり方じゃ駄目だろ、巨漢の膝の上に座ってかかっ て逃げられるのを目撃した。  面白すぎる。
また、入り口付近で何か悪さをした泥酔チビ男が、 でっかい2人のセキュリティにこっぴどく連行されていった。
実は、船にはセキュリティとかポリスが沢山いて、 彼のような奴はジェイルにぶち込まれるのだそうだ。  また、波止場には麻 薬犬がいるので、船の中には麻薬もなく、見た目よりは安全な のだそうだ。  例の事件があってから改善されたとか言っていた ような、そうじゃなかったような、、。
また、スウェーデンとフィンランドをまたがって周遊するこの 船では、タックスフリーで酒が買えるのだそうだ。  陸より安い のだ。  そして、この船の運賃は安い。  夜の便で酔っ払っている 連中の殆どは、ただ酔っ払うためだけに船に乗り、タックスフ リーで陸より安く泥酔し、大量に酒を買い込んで、乗った時と 同じ所で降りる。  しかも身分証などを提示する義務がないので、子供が公然と泥酔している。  またこの船は、トラックやトレーラーなどの大型車を運ぶのを メインの仕事にしていて、この泥酔ツアーはサイドビジネスな のだそうだ。
あまりに衝撃的な光景を目にして、俺は結局、一睡も出来なかっ た。  といっても、もともと3時間足らずしかなかったが。


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